MANNAVIA
改訂の記録
ガイドライン・添付文書・制度の改訂のうち、内科の試験と診療で「正解」が変わるものを、日付と出典つきで記録しています。 昨年の正解が、今年は違う答えになることがあります。MANNAVIA の論点と問題は、ここに挙げた改訂に合わせて直してあります。
最終確認: 2026年9月14日/13 件。学習用の要約で、原典の代わりにはなりません。各項目の下に、学会・厚生労働省・PMDA などの公式の掲載先へのリンクを付けています(会員限定や書籍のものは、案内のページにつないでいます)。
- 2026年7月消化器
PPI・P-CAB の添付文書に、低マグネシウム血症が重大な副作用として追記された
PMDA の改訂指示(2026年7月14日)で、オメプラゾール、ランソプラゾール、ラベプラゾール、エソメプラゾール、ボノプラザンなどの添付文書の「重要な基本的注意」と「重大な副作用」に、低マグネシウム血症が加わった。
気をつけること 長期投与では血清 Mg に気を配る。足のつり、手足のしびれ、動悸などの訴えに注意し、低 Mg に伴う低 Ca 血症・低 K 血症や QT 延長も念頭に置く。
出典: PMDA「プロトンポンプインヒビター含有製剤(医療用)の『使用上の注意』の改訂について」(2026年7月14日)
- 2026年4月感染症
高齢者の肺炎球菌ワクチンの定期接種が、PPSV23 から PCV20 に変わった
2026年4月1日から、B類定期接種のワクチンが23価莢膜多糖体ワクチン(PPSV23)から20価結合型ワクチン(PCV20)になった。対象は65歳の者と、60〜64歳で心臓・腎臓・呼吸器の機能またはHIVによる免疫の機能に高度の障害がある者。65歳を超える人への経過措置は設けられていない。
気をつけること 学会の「考え方 第8版」は、PPSV23 接種後の PPSV23 再接種を原則として選択肢としない。
出典: 厚生労働省「高齢者の肺炎球菌ワクチン」/日本呼吸器学会・日本感染症学会・日本ワクチン学会「65歳以上の成人に対する肺炎球菌ワクチン接種に関する考え方 第8版」(2026年4月1日)
- 2026年4月消化器内分泌・代謝
MASLD 診療ガイドラインが改訂され、MetALD の区分が加わり、肝生検は診断の必須項目から外れた
NAFLD/NASH から MASLD/MASH への名称変更を受けた改訂第3版で、診断は BMI・糖代謝異常・高血圧・脂質異常症などの心代謝系の危険因子の確認が中心になり、代謝機能障害と飲酒がともに関与する MetALD の区分が加わった。肝生検は診断に必須ではなくなった。
出典: 日本消化器病学会・日本肝臓学会「MASLD 診療ガイドライン2026(改訂第3版)」
- 2026年4月アレルギー・膠原病
蕁麻疹の病名が改められ、「慢性特発性蕁麻疹」「NSAID 誘発蕁麻疹」などに変わった
蕁麻疹診療ガイドライン2026(第4版)で、「急性蕁麻疹」「慢性蕁麻疹」は「急性特発性蕁麻疹」「慢性特発性蕁麻疹」に、「アスピリン蕁麻疹」は「NSAID 誘発蕁麻疹」になった。食物依存性運動誘発アナフィラキシーはアレルギー性の蕁麻疹に含められ、血管性浮腫にはマスト細胞起因性・非マスト細胞起因性の区分が設けられた。
気をつけること 2018年版の病名のままの解説は、名前が古くなっている。
出典: 日本皮膚科学会「蕁麻疹診療ガイドライン2026(第4版)」日本皮膚科学会雑誌 136巻4号
- 2026年3月血液
輸血の「使用指針」と「実施指針」が廃止され、学会の「輸血療法実践ガイド」に一本化された
令和8年3月の厚生労働省の通知で、「血液製剤の使用指針」「輸血療法の実施に関する指針」「血液製剤保管管理マニュアル」が廃止された。代わりに、両指針を統合した日本輸血・細胞治療学会の「輸血療法実践ガイド」(初版 令和7年10月、現行は令和8年2月版)を用いる。
気をつけること 古い過去問の解説で「指針に基づき」とされている手順は、実践ガイドで確かめ直す。
出典: 厚生労働省通知(令和8年3月)/日本輸血・細胞治療学会「輸血療法実践ガイド」
- 2026年3月循環器感染症
感染性心内膜炎の診断基準に、2023 Duke-ISCVID 基準が採用された
2026年改訂版の感染性心内膜炎診療ガイドラインが、修正 Duke 基準から 2023 Duke-ISCVID 基準に移った。心臓CTや FDG-PET/CT などの画像所見と、術中の直視所見が大基準に入り、「典型的な病原菌」の範囲も広がった。新規の弁逆流の心雑音は、心エコーが使えない場合に限って小基準として扱う形になった。
出典: 日本循環器学会「2026年改訂版 感染性心内膜炎診療ガイドライン」
- 2026年2月消化器
膿瘍や穿孔のない憩室炎には、抗菌薬を投与しないことが推奨された
9年ぶりの改訂となった大腸憩室症ガイドライン2026(改訂第2版)は、膿瘍・穿孔を伴わない憩室炎に抗菌薬を投与しないことを推奨した。憩室出血の外来管理についても提案が加わった。
気をつけること 免疫抑制状態、全身状態の不良、敗血症の疑いなどは例外。
出典: 日本消化管学会「大腸憩室症(憩室出血・憩室炎)ガイドライン2026 改訂第2版」(南江堂、2026年2月)
- 2026年2月(2025年改訂版)血液
血小板輸血: 腰椎穿刺の目安が、一律5万/μLから2万/μL超に変わった
血小板製剤の使用ガイドライン2025年改訂版(学会誌 2026年2月)で、腰椎穿刺は血小板数2万/μL超で可(2〜5万/μLは個別に判断)となった。2019年版までは一律5万/μL以上だった。
気をつけること TTP と HIT では、予防的な血小板輸血を避ける。
出典: 日本輸血・細胞治療学会「科学的根拠に基づいた血小板製剤の使用ガイドライン:2025年改訂版」日本輸血細胞治療学会誌 72巻1号
- 2025年11月総合内科
サルコペニアの診断が AWGS 2025 に改められ、身体機能は診断基準から、重症度の区分も診断から外れた
AWGS 2025 では、低筋肉量と低筋力の2つでサルコペニアと診断する。これまでの「低筋肉量に加えて、低筋力または低身体機能」から、身体機能が外れ、「重症サルコペニア」などの重症度の区分もなくなった。50〜64歳の握力のカットオフ値(男性34 kg 未満、女性20 kg 未満)と、BMI で補正した筋量のカットオフ値が新設された。
気をつけること 身体機能は診断には使わず、サルコペニアの結果(アウトカム)として測ることが推奨されている。学会は「今後の診断には AWGS 2019 ではなく AWGS 2025 を使用」としている。
出典: 日本サルコペニア・フレイル学会「新しいサルコペニアの診断基準(AWGS 2025)のお知らせ」(2025年11月11日)/Chen LK, et al. Nature Aging 2025;5:2164-2175
- 2025年8月循環器腎臓
高血圧の降圧目標が、年齢や合併症によらず 130/80 mmHg 未満に統一された
6年ぶりに改訂された JSH2025 は、診察室血圧130/80 mmHg 未満(家庭血圧125/75 mmHg 未満)に目標を統一した。2019年版の「75歳以上はまず140/90 mmHg 未満」は廃止された。
気をつけること CKD 診療ガイドライン2023 の「糖尿病がなく蛋白尿もない CKD は140/90 mmHg 未満」とは食い違う。問題文や解説がどの年版に拠っているかを確かめる。
出典: 日本高血圧学会「高血圧管理・治療ガイドライン2025」(2025年8月29日)
- 2025年7月総合内科
「特に慎重な投与を要する薬物」のリストから、H2受容体拮抗薬が外れた
10年ぶりに改訂された高齢者の安全な薬物療法ガイドライン2025で、すべての H2受容体拮抗薬が「特に慎重な投与を要する薬物」のリストから削除された。認知機能低下の報告が少なく、海外のガイドラインでも見直されたことが理由。
出典: 日本老年医学会「高齢者の安全な薬物療法ガイドライン2025」
- 2025年4月感染症
帯状疱疹ワクチンが定期接種(B類)になった
2025年4月1日から帯状疱疹が定期接種(B類疾病)の対象になった。対象は65歳の者と、60〜64歳で HIV による免疫の機能に障害がある者。2029年度までの経過措置として、その年度に70・75・80・85・90・95・100歳になる者も対象。ワクチンは生ワクチン(1回、皮下)か組換えワクチン(2回、筋注)。
出典: 厚生労働省「帯状疱疹ワクチン」
- 2025年3月循環器
心不全の分類に、HFimpEF が正式な区分として加わった
約7年ぶりに全面改訂された2025年改訂版 心不全診療ガイドラインは、LVEF による分類を HFrEF(40%以下)、HFmrEF(41〜49%)、HFpEF(50%以上)とし、初回の LVEF が40%以下で、その後10ポイント以上改善して40%を超えた HFimpEF を正式な区分とした。前版の「HF with recovered EF」に代わる区分。
出典: 日本循環器学会・日本心不全学会「2025年改訂版 心不全診療ガイドライン」(2025年3月28日)